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ピッキングとは?意味や種類、効率化する方法について解説します!

2024年06月11日

物流基礎知識

この記事では、物流業界における重要なプロセスである「ピッキング」について解説します。ピッキングは顧客満足度に直結するため、効率的な運用が求められます。ピッキングの定義や種類、発生しやすい課題、そして作業効率を向上させる具体的な手法について詳しく紹介します。
また、ピッキングと連携する配送サービスも取り上げますので、ぜひ参考にしてみてください。

ピッキングとは?

ピッキングとは、物流業界において倉庫や保管施設から商品を取り出す作業を指します。顧客の注文や出荷指示に基づき、指定された商品を正確かつ迅速に取り出すことが作業者に求められます。このプロセスは、在庫管理と顧客満足度に直接影響を与えるため、物流業務の中心的な要素です。
ピッキングが効率的に行われることで、顧客に対する迅速な対応が可能となり、業務全体の作業効率も向上します。

ピッキングと仕分けの違いとは?

仕分けとは、ピッキングで取り出した商品を適切な場所に分類する作業を指します。つまり、ピッキングは注文に基づいて商品を集めるプロセスであり、仕分けはその集めた商品を配送先やカテゴリごとに分けるプロセスです。
両者は物流プロセスの異なる段階で役割を果たし、どちらも効率的に行うことが求められます。ピッキングの正確さが仕分けの効率に影響を与えるため、両作業を適切に管理し実行することが重要です。

ピッキングの種類とその特徴

ピッキング作業は大きくシングルピッキング・トータルピッキングの2種類に分類できます。取り扱う商品や製品、倉庫のレイアウトや保管方法に応じて使い分けることで、作業を効率的に行うことができます。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

シングルピッキング

シングルピッキングは、出荷指示に基づいて1つの出荷オーダーごとに保管場所から商品を取り出す作業方法です。この方法は「摘み取り方式」や「オーダーピッキング」とも呼ばれます。出荷先別(店舗単位)に集品するため、個々の注文ごとに商品を摘み取ることができ、複数の出荷指示を並行して作業することが可能です。

トータルピッキング

トータルピッキングは、複数の出荷オーダーの商品をまとめて取り出し、その後、個別の出荷オーダーごとに商品を仕分ける作業方法です。この方法は「種まき方式」や「バッチピッキング」とも呼ばれます。商品単位に総量を集品し、仮置き場・仕分け場で出荷先別に仕分けを行います。

シングルピッキングとトータルピッキングの使い分け

シングルピッキングは、急な注文や少量出荷が多いECサイトや小売業の物流センターで広く利用されます。一方トータルピッキングは、出荷量が多く効率化が求められる大型物流センターや、複数の注文を同時に処理する必要がある場面で適しています。

ピッキング種類メリットデメリット
シングルピッキング・個々の注文ごとに商品を集めるため、ピッキングミスが少ない
・急な注文や少量出荷に対応しやすい
・倉庫内を頻繁に移動する必要があり移動距離が長い
・大量の注文や商品数が多い場合、効率が低下する
トータルピッキング・一度に多くの商品を取り出すため、倉庫内の移動距離が短い
・複数の商品を一度に処理でき、作業全体の効率が向上する
・商品を個別の出荷オーダーごとに仕分ける必要がある
・仕分け作業のために広いスペースが必要

ピッキングにおける課題

ピッキング作業は大きく分けると、手作業による人的ミス、作業時間・工数の発生、在庫管理の煩雑性などの課題が3つあります。課題ごとに一つずつ見ていきましょう。

手作業による人的ミス

ピッキング作業における最も一般的な課題は、手作業による人的ミスです。これには、誤った商品を取り出す、数量を間違える、注文を取り違えるなどのミスが含まれます。単純作業におけるヒューマンエラーは疲労や注意力の低下、訓練不足などが原因で発生します。顧客に誤った商品が届くリスクが高まり、返品やクレーム対応に時間とコストがかかる可能性があります。

作業時間・工数の発生

ピッキング作業は作業者が手作業で行うため時間と工数がかかります。特に大量の商品を扱う場合や複数の注文を同時に処理する場合、商品の取り出しや仕分けに多くの時間が必要となります。
また、作業の効率化を図るためには、適切な作業計画とリソースの配置が不可欠です。効率的なピッキングを実現するためには、作業指示書による作業手順の最適化や労働力の適切な配分が重要となります。

在庫管理の煩雑性

ピッキングが正確に行われないと在庫管理に混乱が生じる可能性があります。例えば、誤った商品を取り出すことで、数量が合わないほか、在庫情報が正確ではなくなります。これにより、在庫の実際の数とシステム上の数に差異が生じ、在庫切れや過剰在庫の問題発生につながります。後々大きな問題に発展する恐れがあるため、棚卸を徹底することなどが重要になってきます

ピッキングを効率化する方法

上記で挙げた3つの課題を解決し、更に効率化を図る方法はいくつか考えられます。
以下に2つ紹介しますので、参考としてみてください。

作業指示書の最適化

作業指示書はピッキング作業の効率化に役立ちます。明確で適切な指示を行うことで、作業員がどの商品をどこから取り出すべきかを迅速に理解できます。これにより、作業のスピードと正確性が向上し、ヒューマンエラーの発生を減少させることができます。作業指示書には、商品のロケーション情報やピッキング順序などの詳細な情報を含めることが重要です。

ロケーション管理の最適化

ピッキング作業の効率化には、倉庫内の商品や材料の場所に住所を割り振って在庫を管理するロケーション管理の最適化が欠かせません。ここではロケーションの種類について説明します。

固定ロケーション

固定ロケーションは、特定の商品を特定の場所に常に保管する方法です。この方法は、商品の位置を容易に把握できるため、ピッキング作業が迅速に行えます。固定ロケーションは、頻繁に出荷される商品や特定の取り扱いが必要な商品の管理に適しています。

フリーロケーション

フリーロケーションは、商品の保管場所を固定せず、空いているスペースに柔軟に配置する方法です。この方法は、倉庫スペースを効率的に使用でき、在庫の増減に対応しやすいです。ただし、商品の位置を正確に把握するためには、効果的なシステムと管理が必要です。

効率化システムの導入

効率化システムの導入は、ピッキング作業の効率化に大きな効果をもたらします。以下のようなシステムや技術を導入することで、作業の精度とスピードを向上させることができます。

ピッキングを効率化するシステム

ジタルピッキングシステム

デジタルピッキングシステム(Digital Picking System)はデジタル表示器を利用してピッキング作業を円滑にする作業支援システムです。作業員は表示器やバーコードリーダーなどの機器を用い、デジタル表示が点等した棚で表示個数をピッキングするだけなので、商品知識が無くともスピーディに作業が行えます。このシステムは主に物流センターや、商品の製造工場で部品を取り出す作業などの現場で利用されています。

ピッキングロボット

ピッキングロボットは、人間の代わりに商品のピッキングを自動化してくれるロボットです。高度な技術を活用し、自動化されたロボットが正確に商品をピッキングすることで、作業効率が大幅に向上します。ピッキングロボットは、特に大量の商品を扱う倉庫や、24時間稼働する施設で利用されています。また、ピッキングロボットには以下のような種類があります。

AGV(自動搬送ロボット)

AGV(Automatic Guided Vehicle)は、固定された経路に沿って自動で移動するロボットです。床に敷かれた誘導線や磁気テープ、レーザーガイドなどを使って移動し、指定された場所から商品をピックアップして指定の場所に運びます。シンプルな構造で導入しやすく、倉庫内での搬送作業に適しています。

AMR(協働型搬送ロボット)

AMR(Autonomous Mobile Robot)は、センサーやカメラ、LIDAR(光検出と測距)などを用いて環境を認識し、自律的に移動するロボットです。協働型という名前の通り、人とロボットが協働して搬送業務を行うスタイルが取られます。固定経路ではなく動的にルートを決定するため、柔軟性が高く変化する環境に適応できます。そのため衝突回避や経路最適化が可能で、複雑な倉庫内での作業に適しています。

GTP(棚搬送型ロボット)

GTP(Goods To Person)は、棚やラック全体を持ち上げて移動させるロボットです。商品が置かれている棚ごと作業エリアに運び、ピッキング作業を行うスタッフに直接渡すことができます。Amazonなどの大規模な倉庫での導入が進んでいます。

ハンディターミナル

ハンディターミナル(Handy Terminal)は、従業員がピッキング作業を行う際に使用するモバイル情報端末です。バーコードやOCR(光学的文字認識)の読み取りが行え、物流業界のみならず、小売業界など様々なビジネス現場で利用されています。商品のバーコードをスキャンすることで商品情報確認、数量入力、データの送受信機能などが行え、正確なピッキングが可能となります。ハンディターミナルは、作業の迅速化と正確性の向上に寄与するでしょう。

RFIDタグ

RFID (Radio Frequency Identification)は、情報が書き込まれたICタグ・RFタグと電波などでワイヤレス通信を行い、情報の読み取りや書き換えをするシステムです。RFIDタグを活用することで、遠距離での読み取り、箱から取り出すことなく読み取る、複数のタグを一括読み込み可能といったことが可能です。物流現場での在庫管理をはじめ、製造業やアパレル、スーパーなどでも活用されています。

ピッキングや仕分けも可能なロジクエストの配送代行サービス

配送代行サービスと聞くと、字の通り専属ドライバーが配送業務の代行を実施するサービスだと思う方も多いのではないでしょうか。実はピッキングや仕分けも対応可能なサービスであり、企業ごとに抱える配送の悩みを解決することに役立ちます。サービス詳細はロジクエストの公式サイトで確認できます。

ロジクエストの配送代行サービスとは

ロジクエストの配送代行サービスは、専属ドライバー・キャリアによる配送業務を実施するサービスです。企業が抱える配送問題に対して、アウトソーシングによる解決をします。
専属ドライバーによる社員と同様レベルの業務遂行、複数台を必要とする案件での常駐管理者の設置、都道府県を跨いだ複数エリアでの同時展開など、クライアント企業の業務実態にあわせた受託が可能です。

配送代行サービスのメリットと特徴について

ロジクエストの配送代行サービスは、商品のピッキングや仕分けのみならず、クライアント企業に準じた附帯業務に対応が可能です。営配分離、ラストワンマイル構築、温度管理、季節の物量変動など、あらゆる配送ニーズにお応えします。まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

ピッキングは物流業務において重要なプロセスであり、効率的なピッキングは顧客満足度と業務効率の向上につながります。適切なシステムや作業手法の導入によって、ピッキング作業の効率化を図り、競争力の強化に貢献することが重要です。
物流業界や倉庫管理に携わる方々は、この記事で紹介した手法やシステムを参考にして、ピッキング作業の最適化を目指してみてはいかがでしょうか。

記事の作成者

ロジクエスト編集部

株式会社ロジクエストにて、国内外の輸送案件に従事する専門家メンバーが作成。
物流に関わる基礎知識やトレンドについて、分かりやすく解説しています。

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