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配送ドライバーが定着しない理由とは?自社雇用の構造的限界と解決策を解説

2026年04月24日

ドライバー採用, 配送外部委託

「ようやく採用できたドライバーが、わずか数か月で辞めてしまった」
「欠員が出るたびに求人媒体へ費用を投じているのに、応募自体が集まらない」
「配車の穴を埋めるために、営業社員や現場責任者が自ら配送に出ている」

こうした状況は、もはや現場だけの問題ではありません。
運送が本業ではない荷主企業にとって、配送ドライバーの確保と定着は、配送品質や納品遵守だけでなく、営業活動の継続、顧客満足、利益率にも関わる経営課題になっています。

ここで厄介なのは、この問題が単なる採用手法の良し悪しでは片づかないことです。背景には、配送人材市場のひっ迫や法規制の変化だけでなく、自社雇用という運用そのものが抱える構造的な限界があります。

本記事では、公的データをもとに、なぜ定期配送ドライバーが定着しにくいのかを整理したうえで、荷主企業が見直すべき視点と現実的な対応策を解説します。

配送ドライバーが定着しないのはなぜか?まず押さえたい現状

配送ドライバーが定着しにくい3つの背景
1 人材市場そのものがひっ迫

有効求人倍率の比較

職業計
1.29倍

自動車運転従事者
2.66倍

約2.1倍
職業計より高い

平均年齢 50.9歳
55歳以上 33.9% / 29歳以下 11.0%

2 採用できても、定着しにくい

入職率と離職率(運輸業・郵便業)

入職率
10.0%

離職率
10.2%

一般労働者でも
入職 8.9% < 離職 9.1%

採用しても離職が進み、人数が純増しにくい

3 2024年問題で流動化が進む

時間外労働の上限規制の影響

走れる時間が減る
↓
収入が下がるケースも
↓
より条件の良い職場へ移る

基本給重視
別業界も検討
働き方で比較

企業ごとの努力だけでは、定着を維持しにくい

出典:厚生労働省「job tag」/一般職業紹介状況(令和7年3月)/令和6年雇用動向調査/国土交通省「国土交通白書2025」

配送人材市場そのものがひっ迫している

まず前提として、いま起きているのは「たまたま採用できない」という話ではありません。配送人材市場そのものが、慢性的にひっ迫しています。

厚生労働省の職業情報提供サイト「 job tag」によると、 トラックドライバーの平均年齢は50.9歳、労働時間は月174時間、年収は491.9万円、有効求人倍率は3.2倍です。 さらに国土交通省の「 国土交通白書2025」では、 2024年の運輸業における55歳以上比率は33.9%、29歳以下比率は11.0%とされており、 若手が少なく高齢化が進んでいる実態が示されています。

また、厚生労働省の「 一般職業紹介状況」の参考統計表によると、 令和7年3月の自動車運転従事者の有効求人倍率は2.66倍で、職業計の1.29倍を大きく上回っています。 全産業平均が1.1〜1.2倍前後で推移していることを踏まえると、 ドライバー職は明らかに人材獲得競争が激しい職種だといえます。

つまり、採用難は個社の募集文面や採用サイトの工夫だけで解決できる問題ではなく、そもそも母集団が薄い市場で人を奪い合っている状態なのです。

採用できても、定着しにくい状況にある

採用が難しいだけでなく、採用後も定着しにくいことが、この問題をさらに深刻にしています。

厚生労働省の「 新規学卒就職者の離職状況」における関連データでは、 運送業における高卒新規就業者の就職後3年以内離職率は約3割にのぼります。 また、厚生労働省「 令和6年雇用動向調査」では、 運輸業・郵便業の入職率は10.0%、離職率は10.2%で、全体としてわずかながら離職超過です。 一般労働者に限って見ても、入職率8.9%に対し離職率9.1%で、こちらも離職超過となっています。

現場でよく聞かれる「採用しても増えない」「補充しているのに楽にならない」という感覚は、印象論ではなく、統計的にも裏づけられているのです。

2024年問題で定着の難しさに拍車がかかっている

こうした状況に追い打ちをかけているのが、2024年4月から適用された時間外労働の上限規制、いわゆる「物流2024年問題」です。

一般的には「労働環境の改善につながる制度」と捉えられがちですが、現場では別の影響も生じています。これまでの運送現場では、長時間稼働によって収入を確保する働き方が一定程度成り立っていました。しかし、労働時間の上限が厳格化されたことで、走れる時間が減り、結果として収入が下がるケースが出ています。

すると、ドライバー側では次のような動きが起こりやすくなります。

  • より基本給の高い会社へ移る
  • 同水準の収入なら、別業界を選ぶ
  • より条件の良い働き方ができる職場を探す

この結果、企業ごとの努力だけでは止めにくい人材流動化が進み、特定企業に長く定着してもらうことが一段と難しくなっています。

自社雇用による見えないコストと現場の負担

ここまでの「定着しない・すぐ辞める」という業界全体の傾向は、ある日突然、現場責任者を襲う「致命的なトラブル」として牙をむきます。

見えないコストが利益を圧迫する

「自社で雇ったほうが外注より安い」と考えがちですが、実際には表面に出にくいコストが数多く存在します。たとえば、以下のようなものです。

コスト項目 主な内訳
採用コスト 採用時に発生 求人費用と採用業務の人件費 求人媒体費、面接官の人件費、入社手続きにかかる事務工数などが発生します。
教育コスト 育成期間中に発生 戦力化までの育成負担 同乗研修期間中(1〜3ヶ月)の戦力外人件費に加え、指導者の残業代や教育工数も必要になります。
車両維持費 固定的に発生 車両を保有・運用するための維持コスト 車両リース代、任意保険・自賠責保険、車検・メンテナンス費、駐車場代などが継続的にかかります。
機会損失 表面化しにくい損失 本来得られたはずの売上や組織余力の低下 欠員対応に追われる営業マンの売上低下や、管理部門の疲弊による離職など、見えにくい損失が発生します。

これらは損益計算書の一行だけでは把握しにくいものの、確実に利益を削ります。特に、1人に業務が集中している体制では、退職や欠勤が1件起きるだけで運用が大きく揺らぎます。

採用できたドライバーが短期間で離職すれば、採用費・教育費・管理工数は回収できず、結果として“掛け捨て”のコストになりかねません。これが繰り返されれば、本業で利益を出していても、利益が漏れ続ける構造になります。

現場責任者や営業責任者の負担も大きい

自社雇用の問題は、離職率や求人費といったデータ上の数字にとどまりません。現場において最も深刻なのは、突発的な欠員が生じた瞬間に運用リスクが牙をむき、企業の「コア人材」の時間を容赦なく奪っていくことです。

例えば、次のような状況に直面し、頭を抱えた経験はないでしょうか。

“朝6時に手元のスマートフォンが鳴り、嫌な予感がして画面を見ると、入社して3ヶ月のドライバーから「熱が出たので休みます」というメッセージ。心の中では「もう戻ってこないかもしれない」と察しつつも、今日お客様へ届けるべき荷物は山積みの状況。必死で他のドライバーに無理なシフト変更をお願いし、それでも足りない穴は、自分自身や営業マンがハンドルを握って乗り切るしかない…”

もちろん、配送を止めないための対応は必要ですが、本来営業や管理に充てるべきコア人材の時間が欠員対応に吸われることは、企業にとって大きな損失です。現場の疲弊、判断の属人化、管理職の精神的負担まで含めると、自社雇用の影響は想像以上に大きいといえます。

自社雇用のドライバー定着を阻む「構造的限界」

1 評価とキャリアパスを設計しにくい
安全・時間厳守が前提
加点評価しにくい
将来像が見えにくい

評価軸や昇進の道筋が曖昧だと、モチベーション低下や離職につながりやすい

2 給与を上げたくても、社内バランスの壁

外部市場
採用競争には処遇改善が必要

社内制度
他部門とのバランスが必要

ジレンマ

市場価格に合わせたい一方、社内制度との整合が取りにくい

3 繁閑差があっても固定費は発生する

繁忙期
人手不足で追加対応が必要

閑散期
荷量減でも人件費・車両費は固定

忙しいときは足りない、暇なときは重い

欠員リスクに加え、需給変動リスクも自社で抱えることになる

「運送を本業としない企業」が、自社の配送のためにドライバーを直接雇用することには、そもそも構造的な限界(システムそのものの歪み)にあります。

評価とキャリアパスを設計しにくい

運送を本業としない企業では、「ドライバー」という職種の評価基準やキャリアパスを明確に設計しにくい傾向があります。

営業職であれば成果が数字で見えやすく、役職や処遇のステップも比較的描きやすいでしょう。一方で、ドライバーは「事故なく、時間どおりに届ける」ことが前提となりやすく、加点型の評価設計が難しい職種です。長く働いても将来像が見えにくいことが、モチベーション低下や離職につながりやすくなります。

配送は重要な機能ではあるものの、製造・卸・小売・ECなどの荷主企業にとっては、利益を直接生み出す本業そのものではありません。このズレが、制度設計の難しさとして表れます。

給与を上げたくても、社内バランスの壁がある

2024年問題を受けて、残業による収入確保が難しくなる中、定着率を高めるために基本給を上げたいと考える企業もあるでしょう。
しかしそこで直面するのが、社内の給与バランスです。

たとえば、ドライバー採用のために初任給を大きく引き上げると、営業職や製造職など他部門とのバランスが崩れ、不満の原因になることがあります。全社員の処遇を同時に見直せるだけの余力がなければ、特定職種だけを市場価格に合わせて大きく優遇するのは現実的に難しい場面が少なくありません。

つまり、外部市場では採用競争に勝つための処遇が必要でも、内部制度との整合が取れず、十分な対応がしづらいというジレンマがあります。

繁閑差があっても、人件費と車両費は固定で発生する

ビジネスには繁忙期と閑散期があります。ところが、ドライバーを正社員で抱え、車両を保有していると、この波に応じてコストを柔軟に変えにくくなります。

繁忙期には人手が足りず、結局スポット便や追加対応が必要になる一方、閑散期には荷量が落ちても人件費や車両維持費は固定で発生し続けます。
その結果、「忙しいときは足りない、暇なときは重い」 というミスマッチが起こります。

自社で抱えるということは、欠員リスクだけでなく、こうした需給変動リスクまで常に背負うことでもあります。

見直すべきなのは採用条件ではなく、配送体制そのもの

ここまで見てきたように、配送ドライバーが定着しにくい背景には、採用手法や教育体制だけでは解消しきれない問題があります。

  • 配送人材市場そのものがひっ迫している
  • 採用しても定着しにくい状況が続いている
  • 2024年問題を機に収入構造や働き方が変わった
  • 運送が本業ではない企業では制度設計が難しい
  • 繁閑差や欠員対応まで自社で抱える必要がある

こうした要因が重なっている以上、「求人媒体を変える」「条件を少し上げる」といった局所的な対策だけで、安定した配送体制を維持するのは難しくなっています。

だからこそ、見直すべきなのは“どうやって採用するか”だけではありません。
“そもそも自社で抱えるべきなのか”という視点で、配送体制そのものを再設計することが必要になります。

”自社で抱えない”という選択肢をどう考えるべきか

ここで重要なのは、すぐに全面的な配送の切り離しを決めることではありません。まず考えるべきなのは、自社の配送業務のどこに負荷が集中しているのかを整理することです。

たとえば、次のような切り口です。

  • 欠員が出たとき、どの業務が止まるのか
  • 特定ルートだけが慢性的に人手不足ではないか
  • 繁忙期だけ配送能力が不足していないか
  • 附帯業務まで含めて現場が疲弊していないか
  • どこまでを自社で持ち、どこからを外に任せるべきか

この整理ができれば、全面委託だけでなく、

  • 一部ルートだけ委託する
  • 繁忙期だけ外部を使う
  • 特定エリアのみ任せる
  • 附帯業務を含む一部工程だけ外に出す

といった現実的な切り出し方が見えてきます。

配送を「人の採用問題」としてだけ捉えるのではなく、供給体制の設計問題として捉え直すことが荷主企業にとって重要な視点となります。

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委託先を検討する際に見るべきポイント

さらに具体的な話に移りましょう。外部委託を検討する場合、単に「運んでくれる会社かどうか」だけで比較するのでは不十分です。少なくとも、以下の観点は確認しておきたいところです。

  • 【危機管理】欠員時の代替体制を持っているか
  • 【網羅性】対応エリアや拠点網が自社の商圏に合っているか
  • 【柔軟性】定期便だけでなく繁忙期や短期増便にも対応できるか
  • 【適正化】軽貨物・一般貨物など車格の選択肢があるか
  • 【付加価値】ピッキングや仕分けなど附帯業務まで任せられるか
  • 【統括力】現場管理や複数拠点運用まで含めて相談できるか

このように要素を紐解いていくと、配送のアウトソーシングとは、単なる人員の穴埋め(コスト)ではないことがお分かりいただけるはずです。それは、配送体制の設計そのものを外部のリソースで高度化させる「戦略的な投資」に他なりません。

ロジクエストの配送代行サービスという選択肢

ロジクエストコーポレートサイトのメインビジュアル

ロジクエストの配送代行サービスは、導入企業4,000社、稼働台数5,500台、拠点数60拠点を掲げ、専属ドライバーによるオーダーメイド型の配送に対応しています。加えて、短期間・短時間・1台から利用可能で、北海道から沖縄まで全国対応、貨物保険にも加入しています。

運送が本業でない荷主企業にとって価値が大きいのは、単に「人を手配する」のではなく、現場運用を含めて柔軟に設計しやすい点です。ロジクエストは、専属ドライバーに加えて、軽貨物車両、一般貨物車両、常駐管理者の設置、複数エリア同時展開などにも対応しています。附帯業務としても、ピッキング、仕分け、棚入れ、積込み、棚卸し、集金などへの対応が挙げられています。

つまり、自社雇用では「採用後」に発生しやすい運用負担を、あらかじめ体制設計の中に織り込める可能性があるということです。

また、経営の観点で見ると、これは固定費の見直しという意味も持ちます。自社雇用では、採用費、教育工数、車両維持費、修理費、欠員リスクなどが見えにくいまま固定的に積み上がります。一方で、外部委託は必要な配送能力を必要な条件で確保するという考え方です。

もちろん、委託にも費用はかかります。ただし、「採用できるか分からない人材を前提に固定費を抱え続ける」のと、「必要な配送キャパシティを必要な形で確保する」のとでは、経営上の意味合いは大きく異なります。特に、欠員1名で納品や営業活動に支障が出る体制であれば、後者のほうが合理的になるケースは少なくありません。

まとめ

配送ドライバーが定着しないのは、現場の努力不足でも、採用担当の力量不足でもありません。高齢化した労働市場、相対的に不利な労働条件、2024年問題後の供給制約。これらが重なった結果です。だからこそ、対策も「求人媒体を変える」「時給を少し上げる」といった局所対応では足りません。自社で持つべき機能なのか、外部の配送基盤を使うべき機能なのかを、経営として見極める必要があります。

もし貴社で、配送が本業ではないのに、採用難・欠員対応・車両管理・教育・シフト調整に時間を取られているなら、それは「人が足りない」のではなく、持つべきでない機能を持っているサインかもしれません。

配送を安定運用したいのであれば、自社雇用を前提にするのではなく、外部パートナーを含めて、配送体制そのものを再設計する。その発想転換が、これからの荷主企業には必要です。

記事の作成者

ロジクエスト編集部

株式会社ロジクエストにて、国内外の輸送案件に従事する専門家メンバーが作成。
物流に関わる基礎知識やトレンドについて、分かりやすく解説しています。

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