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物流コストを削減する方法とは?原因分析とコスト削減の7つのアイデアを紹介

2024年08月26日

物流基礎知識

多くの企業が直面する課題の一つに、物流コストの増加があります。物流コストを効果的に削減することで、商品をより安価に提供できるだけでなく、事業全体の利益を増やすことが可能になります。物流コストの削減は、会社の競争力を強化し、経営を安定させる重要なポイントです。この記事では、物流コストがどのようなものであるかを解説し、その上昇理由を分析した上で、具体的な7つの削減アイデアをご紹介します。あなたの企業が直面する物流コスト課題の解決策を見つけるために、ぜひ役立ててください。

物流コストとは?

物流コストとは、製品や商品が製造元から顧客に届くまでの過程において発生するさまざまな費用の総称です。具体的には、以下のような要素が含まれます。

  • 輸送費: 商品を移動させるための交通費用や燃料代。
  • 保管費: 倉庫の賃料や保管設備の維持費。
  • 包装費: 商品を安全に配送するための梱包材の費用。
  • 荷役費: 商品の積み込みや積み下ろしにかかる人件費。
  • 管理費: ロジスティクス管理に関連する人件費やITシステム費用。

これらの費用は、企業が商品を効率的に流通させるために必要不可欠なものであり、それぞれの要素が互いに影響し合っています。

物流コストが上昇している理由

物流コストは年々増加していますが、その背景にはいくつかの要因があります。
これらを理解することは、効果的なコスト削減戦略を立てる上で重要です。

1. 人手不足と労働力コストの増加

現代の物流業界では、人手不足が深刻な問題となっています。特に、トラックドライバーや倉庫作業員の不足が、労働力コストの増加を招いています。この問題は、高齢化社会による労働人口の減少や、物流業界の労働環境が厳しいことが主な原因です。つまり、物流業界における労働時間や収入などの労働条件が他業種と比較した際に敬遠されやすいことから、結果として賃金の上昇が必要となり、物流コストの増大につながっています。

2. 燃料費の高騰

物流の大部分を占める輸送費は、燃料費に大きく依存しています。近年、原油価格の変動や地政学的リスクなどにより、燃料費が高騰しています。これは特に長距離輸送において顕著であり、物流コストを直接的に押し上げる要因となっています。

3. 顧客ニーズの多様化と複雑化

現代の消費者は、多様なニーズを持っており、迅速な配送や特定の時間帯での配達を求めることが増えています。このような多様化した顧客ニーズに応えるため、企業は物流プロセスを複雑化させる必要があります。これが物流コストを増大させる一因となっています。

物流コスト削減のメリット

物流コストの削減は、企業にとってさまざまなメリットをもたらします。以下に、主な利点を紹介します。

・競争力の向上
物流コストを抑えることで、製品の価格競争力が高まり、市場での優位性を確保できます。

・利益率の改善
コスト削減により、利益率が向上し、企業の財務状況が改善されます。

・持続可能なビジネス運営
環境に配慮した物流活動を行うことで、持続可能な経営を実現し、企業の社会的責任(CSR)を果たせます。

物流コスト削減のための7つのアイデア

ここからは、物流コストを効果的に削減するための具体的な7つのアイデアをご紹介します。それぞれのアイデアは、企業が直面するさまざまな課題に対する解決策となるでしょう。

1.物流コストを「見える化」する

物流コストを「見える化」することで、どの部分に無駄があるのかを明確に把握できます。たとえば、輸送費や保管費の詳細なデータを収集し、分析することで、効率の悪いルートや過剰な在庫を特定することが可能です。こうしたデータに基づいて改善策を講じることで、無駄なコストを削減し、全体の物流プロセスを最適化することができます。「見える化」は、持続的なコスト削減の第一歩です。

2. 配送業務の見直しと効率化

配送業務の効率化は、物流コスト削減に直結する重要なポイントです。配送プロセスの見直しを通じて、無駄を削減し、コストパフォーマンスを向上させましょう。以下の方法で、配送業務の見直しと効率化を実現します。

・輸送ルートの見直しと最適化
輸送ルートの見直しには、GPS技術やデジタルマップを活用する方法があります。最短かつ効率的なルートを選択することで、燃料費を削減し、配送時間を短縮できます。これにより、コストの削減と顧客満足度の向上を同時に実施できます。

・共同配送の見直し
複数の顧客や企業と共同で配送を行うことで、コストを分担し、効率的な配送が可能になります。既存の配送計画を見直し、他社と協力することで、さらなるコスト削減に期待できます。

・配送追跡システムの導入
リアルタイムで配送状況を把握するシステムを導入することで、遅延を防ぎ、配送の無駄を最小限に抑えられます。これにより、無駄な時間や費用を削減し、顧客に対する信頼性の高いサービスを提供できます。

3. 在庫管理の最適化

在庫管理の最適化によって、保管費用を減らし、商品不足を防ぐことが可能です。適切な在庫量を保つためには、過去の販売データを分析し、需要に合わせた在庫計画を立てることが重要です。また、在庫管理システムを活用し、リアルタイムで在庫状況を把握することで過剰在庫を避け、効率的な補充ができます。結果として、在庫管理を最適化することにより物流コストを抑えつつ、顧客満足度を向上させることができます。

4. アウトソーシングの活用

配送業務をアウトソーシングすることで、人件費や車両維持費、管理費などの固定費を削減することができます。また、専門業者の活用により、物流プロセスの効率化も期待でき、全体のコスト削減につながります。アウトソーシングの中でも、外部委託と3PLの活用についてご紹介します。

配送業務の外部委託
外部の専門業者に配送業務を委託することで、自社のリソースをコア業務に集中させることができ、業務効率化や人件費、車両維持費などのコスト削減が可能になります。

サードパーティーロジスティクス(3PL)の活用
物流業務全般を3PLに委託することで、スケールメリットを活かしたコスト削減が期待できます。3PLとは、輸送、倉庫管理、在庫管理、配送といった物流プロセス全体を外部の専門業者に委託するサービスを指します。3PLを利用することで、企業は物流のノウハウや技術、ネットワークを活用でき、自社で物流機能を維持するよりも効率的でコストパフォーマンスの高い運営が可能となります。

5. サプライチェーンの見直し

サプライチェーンとは、商品が製造され、顧客に届くまでの一連の流れを指します。生産から販売に至るまでの各プロセスで、多くの企業が関与し、その連携が重要となります。サプライチェーンを見直すことで、物流の効率を向上させ、コスト削減に繋げることが可能です。以下に、具体的な見直しのポイントを示します。

・サプライヤーへの価格交渉と関係強化
サプライヤーへの価格交渉は、サプライチェーンの見直しにおいて重要な要素です。単なる値引き交渉にとどまらず、サプライヤーにとってもメリットのある提案をすることが成功の鍵となります。例えば、長期的な契約を締結により、安定した供給体制を築くことで、サプライヤーも生産計画を安定させることができるなどのメリットを提示することにより、価格の優遇に繋がる可能性があります。サプライヤーとの関係を強化し、双方にとって有益な取引を実現することで、サプライチェーン全体の効率化とコスト削減が期待されます。

・物流拠点の集約
物流拠点の集約も、サプライチェーンの見直しにおける重要な戦略です。複数の拠点を持つことは、地域密着型のサービスを提供する上で有利ですが、運営コストがかさみ、在庫管理が複雑化するという課題もあります。集約によって、こうした課題を解決し、物流コストの削減を実現できます。 例えば、拠点を交通の便が良い場所に集約することで、輸送距離を短縮し、配送時間を短縮することができます。これにより、物流の効率化が進み、顧客満足度の向上にもつながります。また、集約化によって設備や人員を効果的に配置し、無駄を最小限に抑えることが可能です。最適化された物流拠点は、サプライチェーン全体のスムーズな運営を支える重要な要素となります。

6. 包装材や梱包材のコスト削減

包装や梱包にかかるコストは、物流コスト全体の中で見落とされがちな部分ですが、工夫次第で大幅に削減できます。

7. 物流システムの導入

リアルタイムで配送状況を追跡できるシステムや、倉庫管理を自動化するソフトウェアなどの物流システムを活用することで、作業の効率化とコスト削減が期待できます。また、デジタル化により、在庫の正確な管理や迅速な対応が可能になり、全体の物流プロセスをスムーズに進めることができます。

コスト削減における懸念点と解決策

物流コスト削減を進める際には、さまざまな課題が考えられます。事前に課題に対する解決策を理解しておくことで、スムーズな物流コスト削減を実現しましょう。ここでは3つの課題と解決策をご紹介します。

・物流コストの可視化ができるか
物流コスト削減の取り組みでは、コストの可視化が重要です。しかし、正確なデータの収集や分析の手法が整っていない企業では、可視化が難しい場合もあります。解決策としては、専用の管理システムを導入することで、データを自動的に収集し、分析する仕組みを整えることが有効です。

・人材確保
コストを削減するために人員を削減した結果、業務が回らなくなるといったリスクが生じることもあります。この問題を解決するには、業務の自動化や効率化を進めることで少人数での業務運営を可能にし、同時に人材の育成とスキルアップに投資することで、業務の質を保ちながら人材不足の影響を最小限に抑えることができます。

物流コスト削減の取り組みでは、コストの可視化が重要です。しかし、正確なデータの収集や分析の手法が整っていない企業では、可視化が難しい場合もあります。解決策としては、専用の管理システムを導入することで、データを自動的に収集し、分析する仕組みを整えることが有効です。

・品質の低下
物流コスト削減を図る際、品質の低下には注意が必要です。例えば、安価な包装材や人件費の削減が原因で、商品の安全性や配送品質が損なわれることがあります。これを防ぐためには、コスト削減の目標を無理なく設定し、品質基準を定めた上で改善策を実行することが大切です。適切なバランスを保つことで、顧客満足度を維持しつつ、持続可能なコスト削減を実施することができます。

まとめ

物流コスト削減は企業の競争力を向上させるために極めて重要です。効率的な物流運営は、企業の利益率を改善し、持続可能なビジネスの実現に繋がります。 当社ロジクエストは、企業の物流コスト削減をサポートするパートナーとして、豊富な経験と実績を持っています。実際にどんなことができるのか、物流コストをどれくらい削減できそうかなど、まずはお問い合わせいただき、「知ること」から物流コスト削減の第一歩を踏み出してみてください。

記事の作成者

ロジクエスト編集部

株式会社ロジクエストにて、国内外の輸送案件に従事する専門家メンバーが作成。
物流に関わる基礎知識やトレンドについて、分かりやすく解説しています。

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