物流コラム一覧

3月の配送パンクを防ぐ2024年問題対策|残業上限960時間の壁と「自前主義」の限界

2026年02月13日

物流基礎知識

— ⏱この記事は5分で読めます —

「3月さえ乗り切ればなんとかなる」 その決死の覚悟が、実は最も危険な経営判断かもしれません。2024年4月から施行された「時間外労働の上限規制」により、3月は単なる繁忙期ではなく、11ヶ月積み上げてきた労働時間の「しわ寄せ」が一気に噴出する月だからです。
本記事では、物流現場が年度末に直面する法的リスクと、現場を崩壊させないための対策を、最新の法令根拠とともに解説します。

なぜ3月に「物流崩壊」が起きるのか?3つの構造的要因

年度末の現場が逼迫するのは、単に繁忙期だからではありません。遵守すべき3つのルールが、3月の現場を物理的に追い詰める「構造的な壁」となっているからです。

① 「年間960時間」のカウントダウン

多くの企業が4月を起算日として労働時間を管理しています。11月〜2月の繁忙期を無理して乗り切ってきた場合、3月スタート時点で「残りの残業枠が数時間しかない」というドライバーが続出します。1分でも上限を超えれば即、法令違反となるリスクを抱えているのです。

対象かどうかの確認(YES / NO)

Q. 自社で直接雇用しているドライバーはいますか?
YES:
原則として本規制の対象となります。
NO: 直接の雇用関係がない場合は対象外となる可能性があります。

【解説:根拠法令】 自動車運転業務に従事する労働者の時間外労働は、年960時間が絶対的な上限です。36協定を締結していても、これを超えることはできません。(出典:建設業・ドライバー・医師の働き方改革総合サイト
※注:法令の適用可否や具体的な解釈については、個別の就業実態や契約形態等に基づき、管轄の労働基準監督署や社会保険労務士等の専門家へご確認ください。

② 「特別条項」というカードの使い切り

月45時間を超える残業(特別条項)ができるのは、年6回までです。年度末までにこの「カード」を使い切っている場合、3月はどれほど忙しくても、原則である「月45時間」以内に収めなければなりません。従来の「気合で乗り切る」という選択肢は法的に消滅しています。

対象かどうかの確認(YES / NO)

Q. 特別条項付き36協定を締結し、運用していますか?
YES:
月45時間を超えられるのは、年6回までが上限となります。
NO: 原則として、月45時間・年360時間以内での管理が基本となります。

【解説:根拠法令】 特別条項付き36協定を締結していても、限度時間(月45時間)を超えることができるのは年6回までに制限されます。(出典:建設業・ドライバー・医師の働き方改革総合サイト
※注:法令の適用可否や具体的な解釈については、個別の就業実態や契約形態等に基づき、管轄の労働基準監督署や社会保険労務士等の専門家へご確認ください。

③ 「拘束時間」と「休息期間」の二重苦

2024年4月改正の「改善基準告示」により、1日の拘束時間は最大15時間、勤務終了後の休息は継続9時間以上が必須となりました。3月の渋滞や件数増は、この基準を容易に突破させ、翌朝の出勤を物理的・法的に不可能にします。

対象かどうかの確認(YES / NO)

Q. 四輪以上の自動車(軽貨物等を含む)を用いて配送業務を行っていますか?
YES:
改善基準告示の趣旨に沿った管理が推奨されるケースです。
NO: 二輪車等による運送などは、現時点で本告示の直接的な議論からは外れるのが一般的です。

【解説:根拠法令】 1日の拘束時間は原則13時間(最大15時間)、勤務終了後の休息期間は継続9時間以上を確保することが、安全管理上の指標として示されています。(出典:令和4年厚生労働省告示第367号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」、参考資料:「トラック運転者の改善基準告示が改正されています!」
※注:法令の適用可否や具体的な解釈については、個別の就業実態や契約形態等に基づき、管轄の労働基準監督署や社会保険労務士等の専門家へご確認ください。


「これまでの頑張り」がリスクに変わる、3月の岐路

厳格な労務管理が求められる環境下では、これまで現場を支えてきた「気合」や「無理」の積み重ねが、年度末というタイミングで一気に企業の存続を揺るがす重大な法的リスクへと変貌します。

3月の混乱の本質は、一時的な物量増ではなく、4月から11ヶ月間、現場の皆様で必死に守り続けてきた労働時間の「累積」が、年度の終わりに上限という壁に突き当たることにあります。

たとえば、3月特有の渋滞で帰着が遅れた際、1章の③で触れた「休息期間」を優先すれば、翌朝の点呼を遅らせざるを得ません。その結果、配車計画が雪崩式に狂い、全ルートが止まる「連鎖崩壊」を招く懸念があるのです。

配車の穴を埋めるために経営者様が自らハンドルを握らざるを得ない状況は、従来の「自前主義」が物理的な限界点に達してしまった姿といえます。すべてを自社で完結させようと踏ん張ってきたこれまでの努力が、今は最大の経営リスクになり始めているのかもしれません。


「自前主義」から「戦略的アウトソーシング」への転換

配送業務の一部を外部へ委託することは、単なるコスト増ではなく、「重大な法令違反や事故から会社を守り、社長の時間を創出するための投資」と捉えることができます。

法的リスクの分離(コンプライアンスの安定)
繁忙期に溢れた業務を一時的に切り出すことで、自社ドライバーを法規制の範囲内に留め、行政処分や車両停止等のリスクを回避します。

配送コストの「変動費化」による柔軟性
3月のような一時的なピークに合わせて車両や人員を抱え続けるのではなく、必要な時だけ外部リソースを活用することで、経営効率を最大化させることが可能です。


信頼できる「パートナー」としてのロジクエスト

アウトソーシングは有効な解決策ですが、「配送前後の細かな付帯業務まで任せられるのか」という点は、現場にとって大きな懸念材料です。

ロジクエストでは、単に荷物を運ぶだけでなく、配送に付随して発生する現場独自の作業も柔軟にカバーします。例えば、納品時の検品、指定の棚への陳列、鍵預かりによる夜間納品、受領書の回収といった、「配送の前後で発生する、現場特有の手順」を貴社の運用に合わせて組み込むことが可能です。

また、貴社の取引先との関係性を考慮し、ロゴのない車両や制服着用での配送にも対応。外部委託であっても、「貴社の配送部門の延長」として現場に馴染む形を追求します。

私たちは、パッケージ化されたサービスを押し付けるのではなく、年度末に溢れてしまう「配送とそれに付随する業務」を、貴社に代わって引き受ける「柔軟な受け皿」として、現場の負担軽減に貢献します。


4月を「安全」に迎えるために

3月の配送混乱は、適切な外部リソースの活用で回避可能です。今のうちから配送の一部を切り出す体制を整えておくことは、経営者様が本来の「経営判断」に専念し、新年度を最高の状態で迎えるための「未来への備え」となります。

「どの業務を外部に任せるのが、今の自社にとって最適なのか?」

その判断に迷われた際は、ぜひ一度お気軽にお声がけください。数多くの現場を見てきた私たちが、貴社の状況に合わせた「リスクを最小限にするためのヒント」を一緒に整理させていただきます。

3月を乗り越え、攻めの新年度へと転換するための一歩を、ここから踏み出してみませんか。

記事の作成者

ロジクエスト編集部

株式会社ロジクエストにて、国内外の輸送案件に従事する専門家メンバーが作成。
物流に関わる基礎知識やトレンドについて、分かりやすく解説しています。

関連記事